賃貸マンションで光ファイバー引き込み(成功)
昨年末に引っ越ししました。
在宅勤務が多いため、より良い住環境を求めて物件を選びました。 ある程度目標は達成できたのですが、例によってVDSLかCATV(HFC)しか選択肢のないインターネット回線に悩まされることになります。
引越し前の賃貸マンションではあきらめてVDSLを使い続けていたのですが、今回はなんとかFTTHを実現できましたので、そのお話を書こうと思います。
内見〜賃貸契約
東京23区内 築約30年 RC造 単身者メインのありがちな賃貸マンションです。
“一応”、あらかじめ仲介業者に光配線方式か確認してみたところ、フレッツ光の提供エリア検索からポチポチッと検索してくれて、「対応してるみたいですね〜」と言っていました1。
その後で内見し、光コンセントが無いこと、電話線の既設配管はありそうなこと、恐らくVDSL設備があって外から光ファイバーが引き込まれていることまで確認。 後でNTT 116に電話し、マンション側設備はやはりVDSLしか無いという回答が得られました2。
そこで、「部屋へ光ファイバーの引き込み工事を許可いただければすぐ契約する」とオーナーさんに仲介業者を通じて交渉し、許可を得た上で賃貸契約をしました。 直接話がしやすい個人オーナー物件をメインに探していたので、このあたりは比較的スムーズに話が進みました。
移転手続き〜現地調査依頼
さて、契約も済んだので、いよいよ引越しです。
引越し前は光コラボのIIJmioひかりを利用しており、特に他へ移る理由もなかったので移転手続きへ。
IIJのサポートに移転連絡すると、光プロビジョニングセンターに引き継がれ、具体的な調整が行われます。NTT東と調整が必要な手続きは基本的にすべてここを経由するのだと思います。 ここのコミュニケーションコストが高くて非常にフラストレーションが溜まるのですが、光コラボなのでしようがないです。
移転連絡のときに、「移転先の建物はVDSL設備しかないようだが、工事の許可を得てるので、とりあえず光ファイバーを引けるか調査オナシャス」と言うと、諸々調整してくれました。
引っ越しが12月中旬だったのですが、なんとか現地調査は年内に来てもらえることに。工事はどんなに早くても来年になるので、この時点で数週間は固定回線なしで生活することが確定します。
この段階では一旦VDSLのまま移転しておくべきだと、後から後悔することになるわけですが……。
モバイル回線で耐える生活
まだ楽天モバイル UN-LIMITの無料期間中だったことを思い出し、そこそこ近所に基地局があることも分かったので、しばらくこれで耐えることに。 長期戦になることも覚悟し、楽天モバイル利用で定評があるらしい据え置き型ホームルータ「Speed Wi-Fi HOME 5G L11」をじゃんぱらで買ってきました。
無制限を謳っていますが、実際には1日10GBを超過すると制限がかかりました。それでもきっちり3Mbpsは出るので、快適とは言えないけれど"健康で文化的な最低限度の生活"が送れる感じでした。
在宅勤務ではビデオ会議は大きな問題なく利用できましたが、レイテンシが不安定でSSH越しのターミナル上での作業なんかは最悪でした。手元で大量のデータ転送を伴うdocker pull/buildとかnpm installしようもんなら地獄です。
現地調査
年末、ようやく現地調査です。
業者の方がお見えになり、部屋のモジュラージャックから配管を確認すると、部屋〜MDFまでの導通は問題ありませんでした。するとその後「実は過去に断念した記録がございまして……」と言い出し、何やら一気に雲行きが悪くなりました。
話によると、建物へ引き込んでMDFに持ってくるまでの経路に問題があるようです。どうやら地下ピットのような箇所を経由しており、しかも1Fの住民が住んでいる部屋からしかアクセスできないというのです……。恐らく床下収納的な点検口がお部屋のどこかにあるのでしょう。大きなマンションではないので想定していませんでした。
アポなしでいきなりそのお部屋にお邪魔できないので、諦めるしか無いのか……
と思ったのですが、別の入線経路として、ベランダ〜エアコンダクトから入線できないか見てもらうことに(もちろんファミリータイプ契約前提で)。部屋は4階で高圧線が目線より下にあるような高さなのですが、恐らく可能でしょうとのことでした3。比較的大きな道路に面しており、マンション側に架線があるので、良い条件が揃っていたのかもしれません。
ただし、ベランダに架設するとき引き留める方法がないので、あらかじめ金具等を設置してもらわないと工事できないとの回答を得て、現地調査は終了。
大家さんに相談
予想外に面倒なことになったため、大家さんへ調査結果を報告して現実的な解決の道を探します。
- 既設配管を利用する方法
- ⇒ 1F住民との調整が大変では。引き込み時もそうだけど、撤去も。やめよう。
- ベランダから引き込む方法
- ⇒ 退去時に原状回復できる方法ならいいよ。
ということで、ベランダまでなんとか引っ張る方針へ。
また、長期戦が見込まれるのと、モバイル回線での在宅勤務が限界を迎えていたので、「VDSLでいいから先に開通してほしい」とお願いして、VDSLモデムを送ってもらい無派遣工事で開通させました。
引き込み工事へ
引き留めについては、ベランダの物干を固定しているアンカーボルトを利用すれば建物を傷つけず安全に固定できそう、ということで、板金屋に頼んでいい感じの金物を作ってもらいました。
諸々準備ができたところで、もう1月下旬です。光プロビジョニングセンターに連絡して開通工事を調整してもらい、工事日は2月中旬に決定。
工事日当日、高所作業車と作業員数名を引き連れて到着。ドロップケーブルを豪快にベランダまで引き上げて、エアコンダクトの穴からあっさり入線。結構アグレッシブに曲げてるように見えたけど、今どきの光ファイバーってよくできてるんですね。
屋内配線もサクサク進み、光ローゼットまで施工完了。
ONUを接続して無事開通。あぁ、、、ONUのランプがまぶしい。
小型ONUも挑戦したかったけど、引き込みまでで精一杯でそんな余裕なかったヨ
まとめ
- 時間もお金もかかってマジ大変
- はじめから光コンセントがある物件を選ぶのが一番
- 憲法でFTTHを基本的人権として保障してほしい
参考になったブログ記事
- netokenの覚書: マンション光回線の配線方式のお話
- chao情報: 2020年秋マンションインターネット回線設備バトル
- :wq!: フレッツ光クロスを導入した話
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提供エリア確認ページで「ギガマンション・スマートタイプ」などと表示されていれば光配線方式である、という情報も見受けられるが、そうとは限らなかった。提供エリア確認サイトがリニューアルさてから、実態に即したタイプが表示されなくなった気がする。 ↩︎
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仲介業者はもちろん、大家さんですら回線設備を正しく把握していないことは珍しくないので、自分で調べたことしか信じない精神が大事 ↩︎
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この手段は3階以下でないと無理、との情報(a, b)も見受けられるが、建物や周辺の条件次第ではそうとも限らないようだ。 なお、有線電気通信設備令施行規則においては、架空電線の高さの下限は定義されているが、上限に関する規定はない。 ↩︎